もう逃げられないよ。
このまま、地獄に送ってあげる。
「東海の神、名は阿明。西海の神、名は祝良。南海の神、名は巨乗。北海の神、名は偶強。四海の大神、百鬼を退け、凶災を蕩う」
両手で印を作って呪文を唱えていくうちに、奴らの表情はあたしに対する恐怖で歪んだ。
「か、神崎! ま、待って……」
必死に手を伸ばし、許しを請う奴。
うっすらと笑みを浮かべて……話しかけた。
「あら、最初に言ったよね? 山に帰るなら今のうちだって。アンタらが今から行くのは―――地獄だよ」
その言葉を最後に、呪文の最後の部分を唱える。
「急々如律令!」
「ギャアアアアアアアアア――――――!」
スタジオを揺るがすほどの断末魔が響いた。
オレンジの光は、山姥たちを飲み込み……妖気を一掃する。
五芒星が消えた頃には、奴らの肉や骨のひとつも、残っていなかった―――。