地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー

スタジオ内を見渡して、確認する。

うん、いい感じ。

後は発動させるのみだ。


「神崎の娘がビビったのかえ?」

「ケケケケケ……! 今謝れば、お前の首を狩るだけで許してやろう」


下品な笑い方に、思わず悪寒が走った。

誰が狩られるかっての。


「お? いい匂いがするねえ?」


突然、ひとりの山姥がそう言う。


すると、またひとり、またひとりとクンクンと鼻を鳴らして嗅ぎ始めた。

4人とも、匂いの元をたどって……スタジオの中央に向かう。



今だ。


「我が術よ、発動したまえ!」


スーッと息を吸って、右手だけで印を作ると大声で告げる。


その途端。


スタジオの床の所どころからオレンジ色の光が浮かび上がる。


それは、一斉に1本の線をなって隅々まで走った。


そして……出来上がったものは。



「「「「ご、五芒星!?」」」」



これは、陰陽師が好んでよく使う印。


ひと筆書きで、星を書いたものが五芒星。


先ほど呪符を燃やして足でこすりつけたところが、線の折り返し時点だったの。


光を見て、術の成功を確信した。


久々に作った五芒星だけど、うまくいったね。

4人の山姥たちは、五芒星の、ど真ん中にいる。