ぐったりしたちーちゃんは、その場から動かない。


「蓮」


陸が名前を呼ぶと、会長がちーちゃんを抱き上げた。

そのまま、お姫様抱っこをする。

よし、ひとり取り返したね。



「お前、何者だ!」


陸の術をもろに喰らった山姥は、獲物だったちーちゃんさえも手放してしまったため、怒りが強くなっていた。


さらに低い声で陸を睨みつける。


「は? お前らに名乗る気はねぇけど」

「「「「「「なにいい~~!?」」」」」」


山姥たちをバカにした返事が、奴らの怒りを爆発させた。


――ドサッ……ドサッ……!!


次々と奴ら自身が抱えていたアイドルたちをその場に落とす。


そのまま、陸の方へ向かって一気に四方八方から襲い掛かってきた。



――ビュッ……!


「「「「「「息の根を止めて、その肉を貪ってやるっ!」」」」」」


その速さは、陸上選手でも勝てないようなもので。


「ヒッ!」


妖怪に耐性がついていた柚莉が、わずかに悲鳴を上げる。


陸以外のみんなは、恐怖で体が凍り付いていた。



そんな中で、ひとり……あたしだけが口角を上げる。