奴ら、妖怪……山姥(やまんば)は、blossomのメンバー6人分の6人いた。

腕をアイドルたちの首に回して、鋭い爪で頬を撫でている。


「イヤアアアア!」

「こらっ! 騒ぐんじゃないよ」


恐怖で悲鳴を上げるアイドルたちだけど、山姥たちに睨まれて、体が固まっていた。

その山姥6人も、一か所にいるんじゃなくて、6人バラバラに散っている。


というか、6人であたしたちのまわりを囲んでいた。

閉じ込められたような感じだ。


「あんたら、おいらたちの風が効かなかったのかねえ?」


ひとりの山姥が、あたしたちを舐め回すように見ながら言う。

パッと、自分以外のみんなを見た。

あたしがいたからか、陸たちには一切ケガがない。

というか、陸だけは強力なお守りをつけさせているから、絶対にケガしないんだけど。


山姥たちは、獲物の彼女たちを得たからか、嬉々としている。

Blossomのメンバーを奴らから引き離さないと、手は出しにくい。


それに、あの人たちアイドルだし……下手にこれ以上ケガもさせられない。

どうしようか?



そう考えて、ふと顔を横に向けた。

隣に居るのは、陸だ。


「ちょっと……手伝ってくれる?」


そっと声をかける。


「あ?」


陸の視線があたしに向けられた。


陸は……この場の人間の中で、霊力が1番上になる。


あたしが霊力を隠しているから、最強になるの。


それを使って……奴らからアイドルたちを引き離す。


今からやることを決めたあたしは、彼に作戦を話した。



「陸、あのね……」