スタジオ内にいた観客は、どうにか全員避難していて。

タレントチームの人や芸人チームの人たちは、ちょうどスタジオから出たところで、被害はなかった。


被害に遭ったのは……アイドルのjunkieと……blossomのメンバーだった。


「いって……」


名前はわからないけど、junkieメンバーが苦痛に顔をゆがめている。

彼らは、手足から出血していた。

その場から一歩も動けない様子。



そして、blossomのメンバーは、ケガもしているけど……。

ある奴らに、捕えられていた。


「やはり……街にはたくさんの肉があるねえ」


しわがれた声。

白髪だらけの髪は、長く伸びて、振り乱れている。

通常の人間よりは、3倍ほどありそうな、大きな口。

切れ長で、鋭い眼光をたたえていて。

身にまとっているのは、ボロボロの引っ掻いたらすぐにでも破けそうな着物。

足は裸足で、黒く汚れている。

手の爪は伸び、鋭くとがっていた。


こいつら……山姥だ。


その爪を……blossomメンバーの頬にあてている。

少しでも指を動かせば、そこから血が出るのは間違いないだろう。


「おいおい……こんなにいんのかよ」


隣に居た陸が、奴らを見て呟く。

あたしは妖気を感じていた時から、複数いるとわかってたからあまり驚かない。


でも、みんなはそうじゃないから……現れた妖怪たちに絶句していた。



それは、陸たちだけじゃなくて、junkieのメンバーも。

全員、限度を超えた状況に言葉を失っていた。