「今回のQチームの皆さんは、先ほど番組スタッフが直々に依頼をした方々だと言いましたよね?」

「そうだな」


彼女の話を男性司会者はもちろん、番組の出演者、観覧のお客さんまでもが静かに耳を傾ける。


「今回はスペシャル版ということで、Qチームもすごい人たちを集めようと、番組が考えました。そこで、彼、滝本陸くんに出演依頼をしたんだそうです」


アナウンサーが、陸を見た。

それにならって、司会者の男性もヤツを見る。


「なになに? 彼ってすごい人なの?」

「はい」


司会者の問いかけに、満面の笑みでうなずくアナウンサー。


その態度に、司会者の関心も高まっているように思えた。


陸って、そんなにすごいかな?

フツーの男の子じゃない?

あっ。変態閻魔大王であること以外は除いてね。


あたしは、どうしてそう陸が言われるのかがわからずに、首を横に傾げる。


「彼の何がすごいかって言いますと、この滝本くん。主席で入学した現役のT大生なんです!」


「「「「すご~い」」」」


スタジオ内にいた出演者やお客さんたちが喚声を上げた。

あぁ……そういうこと。陸、頭いいもんなぁ。


「すごっ……主席? 君、頭いいんだね!」


司会者の男性が陸の顔をマジマジと見つめる。


「いや……僕は別に……」


遠慮がちに、胸の前で片手を左右に振って否定した陸。