「さて、第10問、“硬貨”の対義語は?」

――ピンポーン!

司会者の問題の出題に、素早く目の前にある解答権を得るためのボタンを柚莉が押す。


「はい、1番早かったQチーム! お答えをどうぞ!」

ニコニコとした女性アナウンサーに、言われて彼女は元気よく答えた。


「紙幣!」


その瞬間に、正解であることを告げるチャイムが鳴る。


「またまたQチーム正解! 今までのところ、すべて正解です」


男性の司会者が、マイクを持って楽しげに告げた。


「すご~い!」


お客さんの方から、感心というような声が聞こえてくる。



番組の収録が始まって、早くも20分近くが経った。


今は、国語系の問題が行われていて、早押し。


正解を出した柚莉は、チームのみんなにハイタッチをしている。


「やったよ杏樹!」

「うん、ありがと」


うれしそうな表情の彼女を笑顔でねぎらった。


今のところ、他のチームよりも一歩リード中なんだ。


すると。


「なぁ! 今回のQチームすごくないか? この子たち、何者?」


ふと、男性司会者が、アナウンサーの女性に問いかける。


フツーの大学生だよね、あたしたち。


そう考えていたら、女性アナウンサーは『待っていました!』と言わんばかりの表情で、何かが書かれた原稿みたいなものを読みだした。