そして5分後、あたしは、さっきまでいた部屋にいた。

ここは、あたしの家の自室よりも、ちょっと狭いくらいの広さで、中央に低いテーブルが置かれ、周りを囲むようにソファーが並べられている。


その中で唯一ある、ひとり掛けソファーに長い足を組み、腕を胸の前で交差している人物がいた。

そう……閻魔大王です。

さっきと変わらない憤怒の形相で、床に正座をしているあたしを睨みつけておられます。


「ねぇねぇ、これが噂のお説教タイム?」

コソコソと内緒話をするように、零ちゃんが柚莉に問いかけた。

うん、しっかりと聞こえているんだけどね。

「うん、そうだよ。これがね、最大で6時間あったりするんだよ」

彼女からの質問に、律儀に答える柚莉。

いやいやいや、柚莉さん、この状況から助けてよ。

正座を開始して5分くらいしか経っていないけど、もう足が痺れてきた。


「6時間? すごいね」

へぇ~というような驚きの表情をする零ちゃん。

だ~か~ら~!! 助けて下さい!!!!

閻魔大王が怖すぎるんですよ。

もう……今にも睨みだけで殺されそうだもん。


陸と目を合わせることができなくて、視線をキョロキョロと動かす。


すると。


「杏、お前……6人出るなら自分じゃなくてもいいじゃないって言ったらしいな」

閻魔大王が声を発するだけで、地響きが聞こえるような気がした。

「はい……」

視線は合わせずに、返事をする。

だって、陸の視線が痛いんだって!


「俺だって、お前がここに来たくもなかったことくらい知ってる。それでも、絶対にお前だけは来るように頼まれたんだよ」

「……はい?」

なんですって? どういうこと?

外していた視線を、陸にゆっくりと合わせた。

なんであたしは絶対に来なきゃいけなかったの?

そう思っていたら、顔に出ていたのか……陸が、ことの始まった2ヵ月前からのことを説明してくれる。


それを聞いて、あたしは……もうTVに出ることを覚悟しなければいけなくなった。