「支度できたのか?」
え?
後ろから、陸の声が聞こえた。
振り向くと、あたしの後ろに立っていて、隣にはじいちゃんもいる。
なんでこのふたりが?
「う、うん。でも、どこに行くの?」
「……内緒」
クスッと笑う陸は、行き先を教えてはくれない。
なぜじゃ!
「繭、行くぞ」
「りーくん!!」
リビングにいる繭ちゃんの方へ呼びかけた。
――パタパタ……
ニコニコと笑う彼女は、陸の元に駆け寄ってきて飛びつく。
そんな繭ちゃんを陸は、軽々と抱き上げた。
……ちょっとうらやましい。
抱っこいいなぁ……っじゃなくて!!
「ねぇ、ホントに……」
どこ行くの?
化粧もしなくていい。
陸の決めた服を着て。
繭ちゃんも連れて。
なにしに行くんだろう?
その時。
「繭ちゃん!忘れものよ!」
へ?
リビングの中からお母さんが出てくる。
その手に握られているのは、繭ちゃんが愛用している八岐大蛇のぬいぐるみ付きリュック。
「わぁ~ママありがとう~」
陸に抱っこされたまま、お母さんが彼女の方にリュックを背負わせた。
そして、あたしたち3人は、じいちゃん、両親に「杏樹、がんばりなさいね」と見送られながら、家を出た。


