「あ、杏……?」
「ん?なぁに?」
マイペースな声で返事をして、ぴったりと抱き着かれる。
まるで、俺をぬいぐるみのように。
……コイツ、どうしたんだ?
「閻魔大王がよかったんじゃねーの?」
さっきまでは、ぬいぐるみを一切離さなかったのに……急に抱き着くなんて。
「へっ?だって、ぬいぐるみの閻魔大王は……陸の代わりだもん」
俺の代わり……?
どういうことだ……?
理解ができなくて、首を傾げる。
それを見た杏が、続きを話し出した。
「だからね?あたしにとっては、本物の陸がいない時は、ぬいぐるみの閻魔大王が陸だと思うんだよ。でも、あと2日はずっと隣にいてくれるし。ぬいぐるみに抱き着くんじゃなくて、本物に抱き着こうって思ったの!」
“わかった?”
小首を傾げてそう言うと、またギューっと抱き着かれた。


