それから数時間後───。

俺たちは、買い物を済ませて杏の家に帰って来た。


時間が……夕飯時だったので、彼女が作ってくれたメシを平らげた。


相変わらずというか。

以前よりさらに、料理の腕前が上がっていて、めちゃくちゃ美味かった。


「陸?お風呂入って来ていいよ?」


夕飯で使った食器を洗い終えた杏が言う。

着けていたエプロンを外すと、リビングのソファーに座る俺の隣に腰を下ろした。


ん〜……。

もうそろそろ来ると思うんだが。


彼女に気づかれないよう……目だけを動かして、壁にかけられている時計を見る。


時刻は08:30。

俺が指定した時間だ……。


「着替えの浴衣は、脱衣所に置いとくよ?」


杏は、風呂場へと向かわない俺を不思議そうな目で見つめていた。