杏はショップの奥へと進んで行き、俺から少し離れる。

ちょうど、商品が並べられた棚で彼女の姿が見えなくなった瞬間。


「すいません」

レジにいた店員に声をかけた。


「はい」

営業用の笑顔を浮かべて、俺のところへやってくる。


「……ちょっと確認したいんですが……」

ニコッと微笑んで、店員に話し掛けた。




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「ありがとうございました〜」


15分後───。

再び杏と手を繋いでショップを出る。

彼女の右手には、繭にと買ったいくつかのぬいぐるみが入った紙袋が握られていた。


「袋、持とうか?」

「ううん、軽いから平気」

フルフルと顔を横に振って……笑顔で返され、「そっか」と微笑み返す。

雑貨屋にて、杏の不機嫌さは直ったようだ。


彼女は……キュッと俺の手を握り、ニコニコと笑う。

そんな杏を見て少し微笑むと、また歩き出した。