地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー

それを見て、出てきた言葉は───……。

「……い、行きたくありません」

敬語での否定。

フルフルと首を横に振って抵抗する。


「そう?」

陸はあたかも、あたしがそう答えることを最初からわかっている顔をした。

ニヤニヤと笑っているし……。


く……悔しいッ!

陰陽師が変態悪魔に勝てないなんて!


「じゃあ、言え」

ヤツは、クスッと悪魔の笑みを浮かべながら、あたしの頬を撫で下ろす。


命令か!?

命令口調ですか!?

悪魔に負ける陰陽師ですか!?


「い、言いたくない……です……」

「フ〜ン?じゃあ、爬虫類展行く?」

ギャアアア―!

フフッ……と笑う悪魔の恥ずかしい質問に答えなきゃいけないんですか!?


「答えねーと、またイケナイこと始めるぞ」

「やッ……」

襟元から、陸の手が滑り込んで来た。

ムリだ。

答えなきゃ、離してもらえない。

だから……。


「……さっきイヤがったのは───……」


ポツリポツリと小さな声で、話し出した。