薄暗い教室……。

窓から入って来る日差しが少ない。


でも、あたしの目の前が真っ暗なのは──……。


「りー……? どうしたの?」


陸の腕の中に、閉じ込められているから。



空き教室に連れ込まれたと思ったら、いきなり抱きしめられた。

隙間なんてないくらいに強く……優しい腕に。


「りー……?」

肩にかけていたバックを近くの机に置いて、陸の背中に腕をまわす。

ギュッと抱きしめ返した。


どうしたんだろう?

ずっと無言で、ただ抱きしめてる。

怒ってるわけじゃないみたいだし……。


すると。

「……なぁ杏」

「ん?」

ようやく一言目を発した。



「抱きしめて」

「へ?」

当然……そういうと、少し体を離して、あたしの胸の谷間に顔をうずめる。