顔を横に向けると、高校生くらいの男の子がふたり立っている。

その後には、友達らしい男の子たち数人もいた。


「何か探してんの?」

「……いや……」

問い掛けられて、すっごく小さな声で返す。

ちゃんと聞こえたかな?


でも……探してるっていうより、待っているんだ。

来てほしいと願う人を。

もっかい名前を呼んで、手を繋ぎ直してほしい。

……ワガママかな。


「そっか、じゃあさ。今ヒマ?」

「この2階上にパイがおいしいカフェがあるんだ。一緒に行かね?」


ヒマじゃないよ、たぶん。

男の子ふたりから、お茶に誘われた。


「……行かない。待ってる相手いるから」

「ふーん、どこに?」

「居なくね?ウソはダメだよ?行こうぜ」


きっぱり断ったつもりだったのに、あたしの近くにはその相手がいないから……男の子たちに再度誘われる。


「行かない」と、もう一度、はっきりと断った瞬間───。


「痛い目に遭いたい?」

「どこで可愛がってやろうか?素直に従えよな」

両方の耳元で、脅すように囁かれた。

同時に、ふたりから両手首を掴まれる。

「アンタ、美味そうな体してんじゃん」

「……ッ!」

──ビクッ

さらに耳元で囁かれ、全身が震えた。


い、イヤッ……陸!


怖くなって、ギュッと目を閉じた時……。



「……おいガキ。気安く俺のモンに触んな」