陸たちが、あたしのバイト先に来てから1週間後───。

とある土曜日の午前10時───。


──ピンポーン


家のインターホンが鳴る。

パタパタとスリッパを履いたまま、玄関へと向かった。


──ガチャ


「おいおい。ちゃんと確認してから開けろよ。不審者だったらどうすんだ?」


扉を開けた瞬間、目の前に立つ彼に、お父さんみたいな小言を言われる。


いや……あたしの家には、不審者なんて入れないんだけど。

ましてや、門をくぐることもできないようにしてある。

じいちゃんが作った結界によって……。


知らないんだっけ?

まぁ……いっか。知らなくても。


「おはよ、陸」


小言も無視して、彼の首に腕をまわすと、ギューっと抱き着いた。