ドキドキドキドキ……。

杏ちゃん誤解しないでくれよ。

心の中で、手を合わせて祈る。


「そっかぁ、未成年だもんね」

「は?」


杏のいきなりの発言に目を見開いた。


「だって、キャバクラってお酒飲むところなんでしょ? 陸って未成年だし、法律じゃ飲めないじゃん」

「杏ちゃん……?」

「ん〜? あっ、別に行ったって良いと思うよ。バレなきゃね。陸は老けてるから、10代だと思われないし」

「……」


杏の中で、キャバクラはただの酒を飲む場所らしい。

ぜってぇ居酒屋と同じだと思ってる。

無知だ……無垢だ。


「はい!行ってくれば?」


満面の笑顔で、券を返される。

夜の蝶の意味がわかんないんだから、キャバも知らねぇよな。


「……天然鈍感」

「ほぇっ?」


キョトンとした顔で首を傾げられた。


ハァ……。

こんなに無垢だから、心配事が尽きねぇんだよ。


自分の彼女の純粋さに、惚れ直すと同時に……深いため息を零した。