地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー


「これといって……してることはないよ。傷んでないのは、カラーリングをしたことがないからじゃない?」


苦笑いで、さりげなく橘くんからちょっと離れる。

もう髪を梳かれないように……。

なんか……頭撫でられたり、髪を梳かれたりするのは、陸以外ヤダな。



なのに!


「そうなんだ。毎日トリートメントとかしてると思ってたよ」


ニコリとまたもや近づいて、あたしの髪を触った橘くんに微笑まれた。


「アハハハ……」

「ホントキレイだよね」


そう言って、頭のてっぺんから……髪の毛先まで指を通される。

頬にかかってるあたしの髪を耳にかけた。

耳の後ろに指が触れる度、ゾクゾクと背筋に悪寒が走る。


……は、離れたい。


チラッと橘くんを見ると、嬉しそうに微笑まれ……体が固まった。