「これといって……してることはないよ。傷んでないのは、カラーリングをしたことがないからじゃない?」
苦笑いで、さりげなく橘くんからちょっと離れる。
もう髪を梳かれないように……。
なんか……頭撫でられたり、髪を梳かれたりするのは、陸以外ヤダな。
なのに!
「そうなんだ。毎日トリートメントとかしてると思ってたよ」
ニコリとまたもや近づいて、あたしの髪を触った橘くんに微笑まれた。
「アハハハ……」
「ホントキレイだよね」
そう言って、頭のてっぺんから……髪の毛先まで指を通される。
頬にかかってるあたしの髪を耳にかけた。
耳の後ろに指が触れる度、ゾクゾクと背筋に悪寒が走る。
……は、離れたい。
チラッと橘くんを見ると、嬉しそうに微笑まれ……体が固まった。


