親父の命日。 毎年、この日にはあの声と映像が酷くなる。 年々、 家族にバレないように、部屋に閉じこもって必死に叫びを噛み殺す。 もう、 隠し通す事はできなくなっていた。 そりゃそうか。 毎年だもんな。 そう思って苦笑した。 もう、潮時だ。 だから最後に、 俺に、 雪との思い出を下さい。 雪との、最後の時間を。 苦痛に耐える、暗闇の中で、決して色あせる事のない鮮やかな思い出を。