別に、そんなことどうってことないハズだ。


あいつが勝手に私のファーストキスを奪っただけ。


そう、それだけのこと。


なのに……なんで胸が痛むの?


「だから碧さん」


「え?」


「すぐるにとってあなたが特別なワケじゃないわ。勘違いしないであげてね?」


清子さんはそう言って、美しく……小さな花瓶に立てられた一輪の花のように、微笑んだ――。