「きゅぅぅ…」


またまた奇妙な声を上げればようやく顔が上がった。

「よかった、動けるん………ッ!!」


一目惚れだとか。
時が止まったと感じるほどの別嬪さんだとか。
はっきり言ってホンマのホンマに妄想以外ありえへん。

あるわけあらへん。


「にゅ…いたい…」

せやからこれは…

「あれ、血が…」

俺の…

「血…ぅぅっ…」

妄想…

「ひっく……ッ…」


「だぁぁぁ! 妄想が泣くなや!」

一瞬でも見とれてしまったことを認めたくなどなく、ひたすら現実逃避を試みるのだがやはりこれはまぎれもない現実。

そう、現実や。