「ん…ぅう…」

翡翠が重たい目を開ける。
動きづらそうに伸びをして。


俺は無表情を努めて渇いた服を相手に渡した。




「………しゅーと…?」

悲しげな翡翠の声。

情が移らぬようにと黙って顔を背けた。



「…秋人…、キス、して…?」

「………」

「…ね、秋人…?」


「……、最後までやったりして悪かった…」


顔は未だ背けたまま。
胸が苦しいのは無垢な子供を汚してしまったからだろうか。


「…しゅうと……、名前っ…」



「…ええから... はよ服着替え…「なんで……なんで名前呼んでくれないんだよッ!」


悲しい叫び声。
胸に響くなんてもんじゃない。

鋭く尖ったナイフで何度も突き刺されたような感覚を覚えた。