やっぱり心は痛むが、誰より奈緒が好きなんだ…



榎本の気持ちは痛いほど分かる

だけど、俺が好きなのは奈緒だから




ポケットに手を突っ込んでケータイを取り出す


指が覚えた番号


〜〜♪〜〜〜♪


「もしもし?」


あー、やっぱ落ち着くこの声


「もしもし、夏樹?」


「もしもし、奈緒?もう家着いた?」


「うん、夏樹も仕事終わった?」


「あぁ。今から帰るとこ。」

「そっか。なんか、私に用事?」


「用事はないけど…。何となく?」



何となく、奈緒の声が聞きたくなっただけだ


まぁ、恥ずかしいからそんなこといわないが…