彼女の言うことには【探偵柿沼良介の多難な1日】短編



それにしても、ゆうりは遅くないか?


いくら幽霊で姿が見えないとはいえ、亜佐美がいるかどうかの確認を取るだけなのに、時間が掛かりすぎている――。


「たいへん! 探偵さんっ!」


「うわっ!?」


文字通り、突然ゆうりが目の前に現れる。


「あ、あんまり脅かさないでくれ……」


思わずビクッと飛び上がりそうになった良介に、ゆうりが焦ったようにまくし立てる。


「亜佐美さんはいなかったけど、同じくらいの女の子が二人、部屋にいました!」


「二人ィ!? 亜佐美じゃないのか?」


「ええ、違う女の子です」


ここで幾分落ち着いたのか、ゆうりが深呼吸する。


「それでその子達……私と同じ『霊体』なんです!」


「霊体って……、幽霊って事か?」


目の前に一人現物がいるので、良介もそんなに驚かずに済む。


「その子達、『小田哲夫に殺された』って言ってるんです!!」


「何だって!?」