「この亜佐美さんが部屋の中にいるかどうか、見て来ればいいんですね? じゃ、ちょっと行って来ます」


亜佐美の顔写真を確認するとゆうりはすうっと消え、次の瞬間、例の部屋の前で楽しげに手を振っていた。


そのまま、部屋の中に吸い込まれて行く。


「幽霊って、便利だな……」


妙に感心しながらぼそっと呟いた良介の脇を、男が通り過ぎる。


ヤバイ――。


男が帰って来た。


良介は思わずギクリとしたが、ゆうりの姿は他人には見えないことを思い出して、少しほっとする。


一人と言うことは、亜佐美は部屋にいるのか、他の場所にいるのか……。