「言いにくいが、その、無料奉仕という訳にはいかないし、今抱えている案件もあるので、すぐ君の依頼を受けることは出来ないんだが……」


これが訳の分からないオヤジなら、とっととお帰り願うのだが、如何せん相手は一見普通の女の子。


本来、はっきりモノを言うタイプの良介だが、さすがに断る言葉の歯切れも悪くなるのだった。


「報酬は、私の素性が分かれば必ず払います。きっと家族がいるはずです。それに私、もう死んでいるんで急ぎません!」


「う~~む……」


結局、良介は幽霊少女『ゆうり』の依頼を受けることになった。


「最後にもう一つ、君が幽霊だという証拠が見たい――」


その良介の問いに、彼女はいとも簡単に答えてしまったのだ。


つまり、空中にプッカリと浮いて見せたのだった。