彼女の言うことには【探偵柿沼良介の多難な1日】短編



「残念だったね。可愛い幽霊ちゃん。俺、昔っから霊感抜群なの。うけけっ」


ニワトリの声で、爬虫類のように小田が笑う。


最初から、アパートの部屋にゆうりがいたときから、こいつは気付いていたのか!?


良介は、己の迂闊さを呪っった。


「男は、コレクションには入れたくないんだけど、仕方ないなぁ。男の幽霊をはべらせても、鬱っとおしいだけなんだよねぇ」


サバイバルナイフをうっとり眺める小田に、一瞬の隙が出来る。


良介が動いた。


ナイフを握った小田の右手を、思いっきり蹴り上げる。


スコン!


軽い音を立てて、ナイフが宙に舞った。