三十分後、小田が大きな白い紙袋を大事そうに抱えて、アパートを出た。
良介とゆうりは、その後を慎重に追いかけていった。
最寄り駅から電車に乗り、郊外へ向かう。
その間小田は、紙袋の口を開けては中をのぞき込み『ニヤリ』とするのを繰り返していた。
「あの袋の中身、分かるか?」
いくら空いているローカル線の電車内でも、独り言をぶつぶつ呟く訳にはいかないので、良介がごく短く尋ねる。
「……女の子の下着と、セーラー服と、サバイバルナイフ」
ゆうりが、薄気味悪そうに肩をすくめながら教えてくれた。
「君は、亜佐美が、生きてると思うか?」
「……少なくても、あの部屋にはいなかったから、多分――」
そう言って、ゆうりがコクリと頷く。
だとすると今、小田が向かっている先に亜佐美がいるのか?
それとも、別件なのか?
これはもしかすると、たまにしか無い“危ない目に遭う”パターンかも知れない。
首筋の産毛がちりちり逆立つ様な危機感を、良介は感じていた。



