「どーしてそんな傷付くような言葉言うの?」
少し引き離して、うちの顔を覗き込む智士は悲しそうな表情をしている。
「…傷付いた?」
「ちょっとね。」
「…ごめんね。」
「ん。」
そう言って、智士はうちの頭を撫でてくれた。
…髪がボサボサになるまで。
「ちょ、ちょっと!!」
「んー?」
その声はちょっと楽しそうでムカつく。
「ボサボサなんだけど!!」
反論するために智士の手を退けて勢いよく顔を上げれば、
「「…っ!?」」
智士はそんなに身長が高くない。
だからうちとの身長差も5センチぐらいで、そこまで見上げる必要はない。
なのに思いっきり見上げちゃったから…
「ち、近い…」
2人の顔は、十分キスできる位置にあったんだ。
「あ、ごめ…」
「ぃや…っ」
何故か、何故なのか、
離れていこうとする智士を引き留めてしまった。
自分でも驚きだ。
でも一番驚いてるのは、
「へっ…?」
さっちゃんだろうね。
「もうちょっと、このままがいい…」
何かよくわかんないけど、すごく落ち着く。
ここなら、素直になれると思った。
特に何も言わない智士は本当にいい子だと思う。
本当は声が出なかったなんてことには気付かず、うちはまだ暫く智士に抱き着いたままだった。



