でも、それがわかったところで今の状況が何か変わるわけでもない。 智士との距離は、遠くなるばかりだ。 「なんで、」 なんで遠くなってしまったのか? なんで触れられなくなってしまったのか? なんで見れなくなってしまったのか? …なんで智士なのか? 「…っ…」 こんなに苦しいなら、こんなに痛いなら。 この気持ちに気付きたくなんてなかった。 知らないまま、平穏に暮らしていたかった。 よりによって、智士を。 「………、」