「先輩は、大切なモノ、見つかりましたか?」

理沙ちゃんは真剣だった。顔も声もいつもと違う。

《あなたの大切なモノは何ですか?》

アテネと理沙ちゃんが交ざり合う。

何度も考えた…

僕にとって大切なモノは何なのか。

大切な仲間。

でも、何かしっくりこないんだ。


「まだよく分からないんだ…

ごめん…」

僕は何故か理沙ちゃんを直視できなかった。

アテネに託された宿題、その解答欄は白紙のまま。

宿題をしていない恥ずかしさと、理沙ちゃんの問いに答えられないふがいなさ…

それが、僕を俯かせたんだ…


「理沙ちゃんの大切なモノは何?」

僕は、この空気が嫌になって、理沙ちゃんに聞いてみた。

「分かりません…

というより、わかってる人いるんですかね?」

理沙ちゃんはそう言って微笑んだ。

ドキン…

そうだ…


この笑顔……

ずっと昔から見てきたこの笑顔…


この笑顔さえ守れれば、それでいいじゃないか…

今までは、妹を見るような感じでいたけど…

やっぱり僕、理沙ちゃんの事…