「お母さん、脳腫瘍だって」

あたしと妹は祖父母の家に預けられた。
学校へは行かなかった。
あたしは荒れていた。
昔お母さんの部屋だった狭い和室に閉じ籠った。

「るなちゃん出ておいで」
祖父母はなんとかしてあたしを部屋から出そうとした。
「入ってくるな!」
手元にあったお皿を祖父母めがけて投げた。
「死ね!おまえらなんか死んじまえ!」
「あんたそれ本気で言ってるの?」
「本気だよ」
祖母が泣き出した。
後にも先にもあたしが祖母を泣かしたのはこのときだけ…。

うるさい。
みんなうるさい。
誰もいない場所に行きたいよ…。

プチ、プチ、
髪の毛を抜く癖がはじまった。
何度も自分の頬を殴った。
お父さんの前で助けて欲しくて
自分で指を突っ込んで吐いた。