『でー‥‥』
『ちょ、だいじょぶ?』
『すごい汗だけど?』
「え‥‥?」
本当だ。
暑いから、の汗とは、
明らかに違う。
そもそも、
汗あんまかかない方だし。
それなのに、
だらっだら。
どっか泳いだ?ってくらい。
だらっだら。
そりゃそうだ。
見える見えないだの、
聞こえる聞こえないだの、
挙げ句には、
幽霊とかって。
何、今日。
幽霊って。
あたし、見えないって。
そーゆーの。
じゃあ、
何で?
見えてんの?
この人の、
人?
この際そこは一旦忘れて。
この人の手が、
あたしの体を貫いた。
胸に腕が、
背中に手が。
痛みどころか、
感触もなかった。
何、にこにこしてんのよ。
こっちはそれどころじゃないのに。
あー、なんか。
ムカつく。