階段をかけおり、廊下を走ると、父さんはピタリと止まった。目の前には、目の前には、赤いランプが光っていた。
―手術中―
その文字を見た瞬間、僕の足はガタガタと震えだした。恐くて、恐くて、仕方なかった。

「翔太、落ち着け、落ち着くんだ。」

何度その言葉を言われたかわからない。恐くて、仕方がない。
やがて僕の意識はとおのいていった。周りもあまりよく見えない。父さんの言うことも聞こえない。ただ、手術中という文字だけが、赤く、はっきりと目に焼き付いていた。恐くて、恐くて、仕方なかった。