病院に着くとすぐさま僕は走り出した。

「翔太、待て!」

監督の言うことも今は聞いていられない。不安でいっぱいだった。
「母さん!なつこ!」
僕は大声を出して病院を走り回った。

「母さん!なつこ!」

どこにいるかなんて、わかるはずがないのに、必死で、必死で探した。

「母さん!なつこ!」

階段をかけあがり、必死で、必死で探した。

「翔太!落ち着け!落ち着くんだ!」

背後から父さんの声がした。僕の声を聞き付けて来たのかもしれない。

「母さんは?なつこは?」

僕は父さんにあわててかけよった。

「翔太!こっちだ!」

父さんに手を引っ張られながら、僕は走った。

『母さん!なつこ!』