家に着いて玄関を開けると、そこには母さんもなつこもいなかった。その代わり、バアちゃんが玄関口に立っていた。
『なんで?バアちゃんが?まさか、ホントに、ホントに?』

いきなり僕に不安がドッと襲ってきた。

「翔太。大丈夫…大丈夫だからね。」

バアちゃんが言った。そう言ったバアちゃんの眼は、うるうるしていた。

『何を言ってるんだバアちゃんは。大丈夫に決まってるじゃないか!そもそも何が大丈夫なんだ!』

「私が病院まで送りますので、車に乗ってください。」

監督がそう言うと、バアちゃんと僕は急いで車に乗った。少しずつ、少しずつ、理解してきた。しかし、そうなると今度は不安でいっぱいになった。

『早く、早く!病院に!』