それが普通のような錯覚に陥っていた。
だからなのか、だんだんそれがうっとおしく面倒になって、最終的には気持ちが冷めていく。そんなことの繰り返しだった。
まるで今の果歩とは正反対。
同じものでもまったく違う意味の言葉。
相手のことだけを思っての「もっと」が、こんなに心地いいものだなんて知らなかった。
俺だけに向けられる思いやりがこんなに温かいものだなんてことも初めて知った。
「もっと、陽生とつり合うような女になりたい」
「ああ」
「もっともっと、きちんと立って歩きたい」
やばい。
本気でこのまま壊してしまいそうだ。
加速する気持ちが溢れそうで、それを押さえるように俺は果歩の耳元で力強く囁いた。



