「何で静香に言わなかった?」
「えっ」
「この様子じゃ今日の朝から具合が悪いんだろう」
何で?と言いたそうな果歩を無視して俺はそのまま立ち上がった。
いろいろ突っ込みたいことはあるが、今はそれどころじゃない。
白衣のポケットから聴診器を取り出し耳に当てると、そのまま果歩の胸に当てた。
「冷たっ」
「我慢しろ」
やけに静かだった。
一瞬嫌がるかとも思ったが、以外にも果歩は大人しく俺に身を任せてくれた。
ドクンドクンと、少し早めの鼓動がだけが俺の耳をかすめていく。
熱のせいか。やけに熱く潤った瞳が色っぽくて
「あんま見つめるなよ」
そう言っていた。
らしくなく緊張する自分に気づかれたくなくて、ふいに視線を逸らす。



