☆★☆(SS完結)


瀬名君を見送ったあと、俺は再び帰る準備を始めた。


早く果歩に会いたくて。


この手で抱きしめたくて。


あせる気持ちを押さえつつ、最後のカルテを整理しようとした時だった。



「あの……まだ、いいですか?」



背後からか細い声が聞こえ、俺はハッと手を止めた。



またか…


こんな時に限ってまたしても急患。


あー…と苦笑いも浮かべつつも俺は医者だ。


患者に俺の私情は関係ない。


これが俺の選んだ道……と、諦めゆっくり振り向こうとした瞬間




「…陽生……」



かけられた声に動きが止まる。