「君は確か……」
「あ、えっと、遅くにスミマセン。瀬名です。昨日はありがとうございました。……まだ、大丈夫でしょうか?」
「ああ……」
そう言われ、俺は驚きながらも瀬名君を診療室の中に入れた。
患者用の椅子に座るように言うと、なぜか瀬名君はそこには座らず、立ったまま俺を見た。
「あの、これ……」
「えっ?」
突然目の前に差しだされた白い箱。
よく見ると、それはぐしゃぐしゃとつぶれていて、形が見事に変形していた。
「えっと、これは……」
「昨日三月が作ったケーキです」
「え?……果歩が?」
「はい。あなたのために」
瀬名君はそう言うと、ポツリ、爽やかな笑顔で話し始めた。



