「えっ?」
思いっきり拒否られてしまった。
「車には乗らない」
「は?」
「一人で帰る」
俺から離れ、勝手に家とは逆方向に歩いて行こうとする果歩に俺は目を丸くする。
「ちょ、ちょっと待てって。帰るってどこに行くんだよ」
そんな果歩の手首を慌てて掴む。
なんだなんだと
すかさず果歩の腕を引っ張り、こっちに向かせようとすると、またしても思いっきり抵抗された。
「離して!」
「ちょっ」
「今日は後藤の家に泊まるから、もうほっといて!」
言いながら俺の手を振り払おうとする果歩。
唖然とする俺を余所に果歩の抵抗はよりいっそう強くなっていく。