深々と頭を下げながら帰って行く瀬名さん達を見送ると、俺は深いため息を吐いた。


話しの末、結局果歩のバイトは今日限りで区切りとなった。


果たして、これで良かったのかどうなのか。


隣で何とも複雑そうな顔をして俯く果歩を見つめながら、俺もまたとても複雑な心境だった。



「……とりあえず俺達も帰るぞ」



とは言ってもここは外。


このままこうして2人していつまでも寒空の下立ち尽くしてるわけにもいかない。

聞きたいことは山ほどある。

とりあえずこのギクシャクした雰囲気をどうにかしたい。


俺は果歩の冷たくなった手を取り、反対の手で助手席を開けた。



「ほら、乗れって、話しは後でゆっくり聞くから。な?」



そう言って背中に手を回し、果歩を車に乗せようとしたのに





「乗らない」