☆★☆(SS完結)


「悪いのは全部私なの!責めるなら私を責めて!これ以上彼に何も言わないで!」



その言葉と一緒に再び俺の手が振り払われる。



冷たく。

おもいっきり振り払われた手に、一瞬にして周りの空気が静かになった。



「恋人だからって、全てを話せるわけじゃないもん」


「果……」


「私にだって言えないことの一つや二つぐらいあるんだもん」



目を見開いた俺と重なるように果歩が俺から顔をそらす。


重ぐるしくなっていく空気。


……けど、そんな俺達を見かねてか、少年がすぐに何かを言いかけようとして、その言葉は背後から聞こえた声にかき消されてしまった。



「涼太」



見るとそこには50代ぐらいの白いコックコートを着た女性。


たぶん彼の母親。


きっと着替える間もなく慌ててここに来たのだろう。


俺に気づき、丁寧に挨拶をされた時にとても甘い匂いがした。