「いくらこの時期人手が足りないからって、三月の好意に甘えすぎた。本当にごめんな」
もう一度謝った彼に果歩が言葉を詰まらせる。
心底申し訳なさそうな表情をする果歩を横目に、俺は何とも言えない気持ちになった。
「……どうしてバイトのこと黙ってたんだ」
俺はずっと納得いかないでいたことを思わず口に出していた。
今さっき聞かされたこと。
それは果歩がこの瀬名とかいうクラスメイトの彼の実家でアルバイトをしていたという事実だった。
しかも俺に内緒で。
それも1カ月も前からだというから正直面喰っていた。
「……果歩?」
「…それは……」
あからさまに気まずい素振りを見せた果歩に俺も顔をしかめる。
彼の店はこのすぐそこの大通りを超えたところのこの辺じゃ有名なケーキ屋だ。
俺も、昔静香にちょくちょく連れて行かれたことがあるからよく知っている。



