それから家に帰ってお粥を作ると、冷蔵庫に真新しいケーキの箱があった。
「果歩、これ…」
「ああ、うん。それ新しく作り直したやつ。う~んてか、やっぱり陽生のお粥はおいしい」
そう言って満足そうに笑った果歩に、俺はケーキの箱を持ったまま動きを止めた。
「いつ、作ったんだ?」
「今日、静香さんの家で朝からもう一回作ってみたの。ほら、だって昨日のケーキは悲惨なことになっちゃったし」
果歩が目線でグシャッと潰れかけたケーキに目を向けたから、俺もつられるようにそっちに向いた。
「ごめんね。本当は昨日のうちに渡したかったんだけど」
「いや……」
「あっ、でも味は保証するよ。なんせ本場仕込みの味だからね」
クスッと笑った果歩がやっぱり可愛くて、俺は何も言えず視線を合わせることができなかった。



