気付いたら多田君はラブホからいなくなっていた。

「・・・帰るか」

爽君はあたしに優しく問い掛けてくれた。

「うん・・・」

そうしてあたし達はラブホを後にした。
帰っている時はたわいもない話で盛り上がった、多分爽君が気を使ってくれたんだろうなぁ・・・

ガチャ

「たっただいまぁぁ」

あたしは恐る恐る玄関の戸を開けた。

「由美っ何時だと思ってるのっ!!こんな夜遅くまで何やってたの!?」

案の定お母さんに怒られた。だって時刻は夜の8時を回っていた。中学生が出歩くには遅い時間帯。
てかっ
どっどーしよ!?理由なんて説明しよーー

あたしが焦ってる事に気付いた爽君はあたしに代わり話してくれた。

「すいませんっ俺が夜遅くまで由美ちゃんと遊びたくて、それで由美ちゃんが付き合ってくれて・・・本当すいませんっこれからは気をつけますっ」

えっ!?
爽君あたしに気を使って・・・嘘ついてくれた!?

「もういいわ、爽君これからは気をつけてね?由美もよっ!?」

「はいっ本当すいませんでした」

「へっ?あっうん気をつけます・・・」

お母さんはあたしの言葉を聞いて台所へ戻っていった。

「そっ爽君あっありがとあたしのために嘘ついてくれて・・・」

あたしは顔を俯かせて爽君にお礼を言った。

「これ貸しだからっ」

へっ?

あたしは俯いてる顔を上げた。
あたしが惚けた顔をしていると

フッ

爽君今鼻で笑った?

「だからこれは貸しだから!!かぁし!!今度なんか言うこと効いてもらうから」

そう言うと爽君は自分の部屋に戻っていった。

なっ何が貸しよ!?絶対言うことなんて聞かないから!!


でも、今日は本当ありがと。

あたしは心の中でそう言った。