あのあと放心状態になって我に返ったあと、失神したらしく目が覚めた時には辺りは薄暗くなっていた。


そして今は家にいるのだが…何故だ?


何故ここに匙月がいるんだ?


只今キッチンで調理中のあたしはそんなことを考えながら野菜を切っていたからか指を切ってしまった。


「った…」


顔を思いっきり歪めた後、ため息をつき血を洗い流そうと水道に切ってない方の手を伸ばしたのだが…。




「貸せ」


横から突然依智がやってきたかと思うと切れた方の手を掴まれて口元に引き寄せて躊躇いなく口に含んだのだった。


「!?!?!?」


声にならない声を上げて呆然と見つめていた。


「イチさんきゅー、ピッタリだ………!?」


ガチャとリビングのドアが開いたかと思うと依智の服を着た匙月が。


しかし目に飛び込んできた光景に驚いたのか言葉が途中で止まった。


「この血臭、やっぱり美依か…。 にしてもイチ、ずりぃぞ」


や、訂正。


驚いた訳ではないらしくズルさを感じてのものだったらしい。


「美依の血、極上そう」


サッと変わった瞳の色にあたしはスッと目を細めたのだった。





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