キスなんて、
ましてや手を出すつもりなんて

さらさらなかったんだけど。



『この先』


を感じたから、いいかなんて思った。



俺きっと、この子を大切にすんだろーなって。



なぁ、ちい、俺。



お前のことすげぇ好きになったみたいだわ?



―――仕草に、視線に、
触れる手に、



全部が愛しくて。
全部が新鮮で。



自分で思ってる以上に、俺は子供なのかもしれない。





不謹慎かもしれないけど、
ちいと出逢わせてくれた大嫌いなあいつに、感謝さえ覚える。



俺の腕にすっぽりと収まるちいを、とても愛しいと感じた。




手を繋いで、無言で。
2人照れあいながら
手を繋いで車に戻った。





少し冷たい風に、夏の終わりを覚えた。






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