「はい」って渡されたマグカップを手で包むと
温かくてどこか安心した。
「ありがとございますっ」
「んで?なしたのさ」
「…や、あたしみたいのが上がっちゃって
彼女さんに失礼じゃないかなって」
なんだか気まずくて
温かいコーヒーを口に運ぶと、
わざわざ入れてくれたミルクの味が広がった。
「俺いたら女あげたりしねーもん。
あれが気になったなら
ただの妹の勝手な趣味ね?」
って、さっきの時計を指差して笑った。
そっか…そだよね。
居たらあげたりしないよね。
「そーいえば。
まだ名前知らないよね?」
「っあ!ですよね」
あたし散々迷惑かけて
名乗りもしないって!
「俺、本谷俊介ね。
ちなみに22歳!
俊介でいーから」
「えと、藍川ちい…で
18歳です
…と、ちいで」
「…は、若っ!
てか高校生?だよな
俺下手したら犯罪じゃねーの!?」
って変に動揺する姿に、思わず笑った。

