さっきとは違う、優しい声で。 赤信号に照らされて、初めてはっきり見えた顔は 暗い中でも整ってることがはっきりわかった。 綺麗な薄い唇。 整った鼻筋。 ぱっちり開いた切れ長な目。 無造作な髪。 「…あ、はい……」 思わず口から出てしまっていた。 もちろん、今助けてもらった人に 警戒心なんて持つつもりはないし、いいんだけどね? それきり無言のまま、少しすると車は近くのマンションに停まった。